ここ数日、studygift 〜学費支援プラットフォーム〜が世間を賑わせているようだ。個人的には義務教育時代から厳しい生活を経験してきた立場から言えば、学費を支援してもらえる窓口が増えるのは歓迎である。
しかし、その形はまだまだこれから磨く必要がありそうです。
studygift – 「学費を支援してくださる方を探しています」 – BLOGOS(ブロゴス)に数名のブロガーの意見がまとめられているので詳しくはそらちも参考にされたい。
「ただねえ、就学希望児童への資金助成等の事業というのは、デリケートなんですよ。」
やまもとさんのブログのこの下り。この一言がもっともこの問題を的確に描写していると思う。
家入一真さんの例の件で願うことなど: やまもといちろうBLOG(ブログ)より引用:
一番、就学の助成を必要としているのは14歳とかの子たちですよ。
思春期でもあり多感な時期でもあります。
自分自身もこのエントリーの記事にあるような状態になるまでは普通に習い事にも行けるような中流家庭(?)であったと思います。それが事情があって転落し、激貧の生活を送らざるを得ないことになるのです。
小学校5年生、6年生のころにそういう状態に陥り、毎朝牛乳と新聞配達をし、そして親戚のお古の制服を着て小学校に通うものの、制服はつぎはぎで・・・。これまた恥ずかしいしイジメのきっかけにもなってしまう。
でも学校には行きたいし、このような家庭の経済的な事情もあるわけで、奨学金やその他お役所の制度に頼らざるを得ない状態だったわけです。
今回は坂口さんが商品のように見えてしまった。それは本当に奨学金を必要としている人の感覚からみれば違和感があり、そして、家入さん自身の家庭もそうであったのに何故こんな形になってしまったのかが、疑問という形で残ってしまった。
ただ、ネットを通じて何らかのトラフィックを巻き起こし、少額決済等で寄付をするというスタイルCAMPFIRE等の焼き直し感はあるものの、その存在意義を提言したという意味では大きな役割を果たしていると考えています。
普通の学生でいたい
学費が払えなくて学校が行けない、ということ相反して普通の学生でいたいと希望する学生も少なくないはず。
それはある程度成績を確保していて、学費を稼ぐためにアルバイトなどで、それ以外の学生らしい生活(サークル活動、旅行、遊びなど)に犠牲を払っている人もいなくはないだろう。
ボク自身は昼間のバイトのあと、夜間の大学に通っていました。
しかし、ボクはこの大学で納得していなくて(経済的なことも含めていろいろな事情でこの大学に入った)、昼間バイト→夜間大学→深夜受験勉強(他の大学を受けるために)という生活を繰り返していました。
もうすでにここで生活は自立しており、自分の収入だけで生活をし、もう親の頼りも無く、受験勉強のための参考書や模試代も自分で払い、受験費用も全部自分のバイト代から出していた(そのため納豆ご飯という偏った生活で翌年病気になる)。
結果として、受験はダメだったのですが、もし金銭的になにかあればバイトを縮小して受験勉強に集中できたかもしれないし、普通の学生のように予備校にいったり浪人とかもできたかもしれない。でもそんな余裕が無かったので、こんな無茶なことやってました。
仮に希望通りの大学に行ったとしても、実家からの仕送りなんてあり得ないボクは学費と生活費を稼ぐためにまた無茶なバイトを繰り返す必要があり、これが本当に勉強したりする状態になるのか、と言われれば、冷静ないまだからこそ、それは破綻していたのだと気づかされる。
そして、あこがれの大学でサークル活動も含めて大学生活を謳歌できていたのだろうか。それを考えると自分が何をしているのかわからなくなってしまった。
そんなことを経験してきているからこそ、苦学生が“普通の学生”でいられるような仕組みも必要なんじゃないかと思っている。坂口さんがモデルケースとしては疑問が残るけど、旅行やパソコンだってあると学生生活の潤滑油であったり人生経験を深めるきっかけになるし、パソコンで効率化できたらどれだけより多くの勉強や経験を積めるだろうか、という考え方もできる。
ボクがやりたかったこと
過去形にしているけど未来形かもしれません。
高校時代、授業料減免とか奨学金の制度もあって通学定期代が高いけどプラマイゼロぐらいでなんとか高校に進学ができる状態になった。
とはいっても、進学した高校のクラスがいわゆる特進クラスで、鬼のような速さで授業が進み、クラスメイトは参考書や問題集をどんどん買って「この参考書がいい」とかリコメンドをしていました。塾にもどんどん通っているという精鋭でした。
一方、うちにはそんな余裕は無いので、高校で買った教科書と問題集ぐらいの武器で戦わなければなりません。
このとき、新聞で情報がローコストで送れる時代がくる、といった記事が書かれていました。それが電波の話なのかパソコン通信の話なのか、インターネットの話なのかははっきりと記憶していませんが、「ニューメディア」と書かれていたのを覚えています。
もし、各家庭にパソコンのような情報端末があって、参考書や問題集を配信できたら紙代や輸送料等かからないわけで、格安で学習教材を自宅に配信できるのではないかと思ったのです(いわゆる今で言う電子書籍ですね)。
将来大きくなったら同じような境遇の学生にそういった環境を用意したいと考えていました。 この発想は今までいろんなところで言ってきたつもりですが、こういう気持ちがあったからこそインターネット業界に入ったというのもあります。
学生に必要なことを支援
お金というのが議論を読んでいるかもしれないが、お金ほどワイルドカードなものはなくて、これ以上に一番わかりやすいものはない。
だからこそ、諸刃の剣にもなっているのかもしれない。
パソコンとかは現物支給でもいいかもしれないし、生活費が・・・ということであれば、不動産の賃貸契約書で家賃証明を出して企業で言う家賃補助みたいな制度を作るとか、運営は大変かもしれないけど、そんな応援もできるかもしれない。
それがお互いの名前とかわからず、オークションのエスクローサービスのように支援したり受けたりという仕組みでもいいかもしれない(これだと話題性に欠けたりしそうだが)。
そこで、定期的に成績や近況を報告するメッセージ機能とか付けたりして、それを可視化(どんな人がどんな人にどんなことでどんなことをしているか)して閲覧出来る仕組みなど、少し企画を精査していくこともできるかもしれない。
今は、そういったアイデアが出されているだろうし、当事者のみなさんも今調整しているところだと思います。
要は、形を変えてでもこのような試みは続けて欲しいな、という願いです。