地方創生時代のための IT を活用した情報発信ガイド (OnDeck Books(NextPublishing))
筆者の取出 新吾さんよりお声がけいただき献本いただきました。ありがとうございます。
取出さんは茨城県庁で2年間広報ICTディレクターとして常駐され、茨城県で現在茨城県広報監に着任されています。(参考:茨城県が年俸1000万円で公募した「広報監」の魅力度アップ作戦|『週刊ダイヤモンド』特別レポート|ダイヤモンド・オンライン)
そんな取出さんが取り組まれたこと、経験、得られたノウハウ、知見なども含めてシンプルにまとめられていて読みやすい一冊になります。
地方自治体の方を含め、個人的にはどちらかと言えばお仕事として関わっている方、地域の方にも読んでいただきたい一冊となっています。
私自身も、自分の経営する会社で複数の地方自治体や関連団体との取引もあり、「そう!そう!」とうなづける部分も多く共感する部分も多い。
もしかしたら、自治体・行政側よりも取り巻くまわりの方のほうがこれを理解しておいたほうがよいのではないかと思うことも少なくない。
解析し、戦略立案すること
これが出来ていないところが少なく無い。
多い、少ない、増えた、減ったということだけで片付けてはいけない。
アクセス解析から戦略立案
アクセス解析を見ずにこれをやろう、あれをやろうと言いがちなことも見受けられます。
取出さんが茨城県に常駐されて「いばキラTV」についてまず取り組まれたことは3ヶ月ぐらいは大きな変更を入れずにアクセス解析に力を入れていたとのことでした。
指標を変え、情報の届け方を変えていく
ここで取り組まれた大きな動きは“指標を大幅に変える”ということでした。
サイトに訪問されることが目的では無く、茨城県のことについて知ってもらう、魅力を感じてもらうということが主目的であり、実はサイトでのPVはあまり重要ではないのです。ウェブだけでなくYouTubeやUstreamなどのサービスへの訪問数も合算することのほうが結果的に茨城県知ってもらうという主目的を達成することについてのリアルな数字に近いのです。
例えば、バズフィードさんなんかもPVを意識するよりも読まれるところにコンテンツを届けるということを意識されているらしいです。
BuzzFeed Japan創刊編集長 古田大輔氏が会見 – ログミー
読者に来てもらうのではなく、読者がいる場所に我々のコンテンツを届ける。それが我々の手法です。
それを聞いていると、これからのメディアや情報発信は届けたい人がいて、読まれる場所に確実にコンテンツをデリバリーすることではないでしょうか。
書籍では広報誌もシュフーというデジタルチラシサービスやマイ広報誌というサイトへの露出、ひいては、スマートニュースやグノシーに転載される可能性まで作り出すという事例が紹介されていました。
そうすることによって、結果として届けたい人に情報が届く、ということにつながります。
私の個人的な行政のイメージとしてはやることと予算が決まっている枠組みが非常に多いのですが、取出さんのこのような茨城県での取り組みは、現在のネットをうまく活用し、トライアルもあると思いますが、行政側でありながらもアグレッシブにチャレンジされている印象がありました。
豊富なコンテンツや魅力的な資産をもっている地方自治体こそ、こういった形で、これまでの焼き直しのやり方だけでなく、本来届けるべき人に情報を届ける、というやり方にスイッチしてみてはいかがでしょうか。
本書は次のような目次で展開されていますが、そんなに分厚い本とも感じず(紙の本の長さ: 73 ページ)、読みやすいながらも全体像、アウトラインはおさえてある印象です。
【目次】
1. 行政の情報発信について
1-1 情報発信の必要性
1-2 情報発信の目的を整理する
1-3 ターゲットを設定しよう
1-4 ネットに情報を載せる
2. 行政が使うべきIT サービス
2-1 IT サービスの種類
2-2 広報紙
2-3 ウェブサイト(ホームページ)
2-4 SNS
2-5 行政のネット動画
3. 新しい可能性
3.1 キュレーション
3.2 ブロガーの活用
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