隣の靴専門店店長がビビる、スーパーの靴売り場を三カ月で立て直した方法

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あれはもう20年も前になる大阪にいたときの話。

その前の職業が同業界でジーンズショップの売り場責任者というキャリアもあったのでそれが出来たのかもしれない。

その会社をやめて転職活動しながらバイトでもしようかと思って近所のスーパーの靴売り場で働くことになった。

単なるアルバイトではあるものの経験があるということで課題として昨年比六割に落ち込んだ靴売り場を改善していくことになる。なお、スニーカーや靴にまったく興味もないところから入っているが、それでもなんとかなる。

商品が散らかってる、汚い

当たり前ですが、そんなお店で買いたくないですよね。

まずは商品整理、つまり、商品をきれいに陳列しその状態を徹底して維持することからスタート。

次にクリンネス。いわゆる掃除。ホコリや汚れなど完全にきれいにしていく。これも維持していくことが重要。

声かけ、接客を徹底する

当時、大阪で繁盛しているスニーカーショップと言えば、やはり、いらっしゃいませの声かけやおすすめ商品など、しっかり声に出して訴求していた。もう、ほとんど大声。若者らしい活気をすごく感じます。

さすがに若者向けの店ではないのでそこまでやり過ぎることはないのですが、声かけや接客は徹底。売り込みっぽくなりすぎないように、話もしっかり聞くようにする。

するとなぜだか自然と売れていく流れが出来てくるんですよね。あの店員のところで靴を買っていくお客さんを見て、ほかのお客さんもその人に接客してもらいたいな、って思われるような接客をするんです。

すると次々と指名でお客さんがやってきて次々と自然に売れていきます。

販売六大用語を使いこなす

いらっしゃいませ

ありがとうございます

おそれいります

お待たせいたしました

かしこまりました

またどうぞお越しくださいませ

だったかな。

その当時、そのスーパーの中ではそれを使いこなせる社員が皆無だったそうです。

アルバイトで配属されてレジうちを教わって初日から完璧にそれを使いこなしているボクの姿を見て、そのスーパーのOBが僕に聞いてきました。

あなたはどこでそれを、学んできたの?いまの社員はほぼそれが出来ないのにあなたはなぜ?

僕には不思議でした。

前職では当たり前だったことが当たり前じゃなかったのです。

商品整理やクリンネス、そして販売六大用語。

売り上げが低迷する理由は当たり前のことが出来ていなかったことが大きいんですね。

だから周りの社員やパートのかたよりも率先してボク自身はやり続けました。

商品を魅せる工夫

ディスプレイ、陳列方法など、単に並べるだけでなくどのように魅せるか、という創意工夫がそこにはありませんでした。

前職では自由すぎた僕にはもの足らず、あるもので本当に自由にやらせていただきました。

例えば棚をすべて低めにする。これだけで売り場に入りやすくなります。

そしてめいいっぱいアソビを、入れます。天井から商品の靴をぶら下げる具合にです。普通、スーパーでそんなんしないよね、ということも遠慮無くやっていきます。一日中脚立に乗る具合にです。

その結果、次第に自然とお客さんが売り場に入ることが増えてきました。

するとですね、靴売り場の隣にある有名全国チェーンの靴専門店の店長が頻繁に偵察に、来るようになるのです。

事実上、隣にあるのでライバル店ではあるのですが、まったくそんなことは気にせずにどうぞ見ていってください、というスタンスですし、むしろこういう考え方でこういうレイアウトなんですよ、と情報交換的に話したりする。

そうやってると、隣の靴屋も頑張って、周辺が面白いように賑わってくるんですよね。

結果、また、客数増えるみたいな。タダでコンサルしているようなものですが、結果的に自分の売り場が儲かるんですよね。

戦略的に売る

まあ、どう考えてもしょせんはスーパーの靴売り場なんです。魅力的なスニーカーは隣の靴専門店に売っているわけです。

その商品力にはかないません。とても本部のバイヤーにもそこまで、かき集めてくるスキルがあるとも、思いません。いや、むしろ、事情はわかっているんです。

ぼくがバイヤーを前職でやってたから。

というわけで、スーパーの靴屋らしく売り方を考えるわけです。

昨年の売り上げデータやこれからの入荷予定なども見たりするのですが、一点売り時を逃しているのではないか、というアイテムを見つけました。

それは上履きです。学校の。いわゆるバレエシューズですね。

バイヤーの情報によると八月最終週に大量入荷?

確かにそのタイミングに二学期始まる前でみんな慌てて新しい上履き買うかもしれないし、そのタイミングによく売れるのはわかってる。でも売るチャンスってそこだけでしたっけ?と。

というわけで一学期の終業式が終わって汚い上履きを持って帰ゲンナリするタイミングにそろえておきたいな、と。

このスーパーは全国チェーンで、靴を統括するバイヤーは雲の上のような存在です。でも僕は恐れずに電話をして交渉するわけです。たった一店舗のアルバイトの人間がです。まったく聞く耳を持ってくれないのですが、説得して何とか仕入れてもらう交渉を、した結果、少し遅れたのですが盆前に入荷。

結果、実はまったく昨年までのデータでは気づけなかったお盆の時期にバカ売れするんです。

早速足りなくなるのでバイヤーにオーダーするのですが、その結果を見て全店で早めに入れてもらうことになりました。

結果的にバレエシューズの単月の売り上げは単純に3倍伸びてます。地域のスーパーだから周辺の人口がほとんど変わってないのにもかかわらずです。ニーズの量は昨年とほぼ変わらないはずなのにです。

つまり売るタイミングさえ合わされば、マーケットは同じでも売れ方が大きく変わるんです。

そういう売れ方を見て、また隣の靴専門店の店長がスパイしにくるのですが、遠慮無く僕は次の手を話しちゃい、また一緒に隣の靴専門店と自分の靴売り場を盛り上げていくわけです。

三カ月で昨年比六割から抜けて昨年比越えに、転換しました。アルバイトからパートに転換し最高の時給を得るようになりましたが、そのタイミングと同じタイミングで転職先が決まります。

そんな結果を残してまったく違う業界に転職しました。

あれから二十年。

この時の経験をまた活かして自分の仕事の仕方を改めたいなあ、と思ったわけです。一緒に盛り上げていく、って大事だな、と。

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